5月から始まった『思い出絵画教室』も、今回で第6回目を迎え、今年度最後の絵画教室となりました。
この一年あまり、絵画教室を通じてふれ合ってきた子どもたちにも、さまざまな変化や少しづつ成長していく様子が見られました。
そこで今回は、『思い出絵画教室』の子どもたちの中から何人かの子どもたちを取り上げて、今年度の様子を振り返ってお話をしたいと思います。
Kくんは、無口でおとなしい男の子。第1回目の絵画教室が始まったときには、元気いっぱいエネルギーに満ち満ちた他の子どもたちの中で、ほとんど目立たない存在でした。
友だちと関わり合ったり、おしゃべりをするということがKくんにはほとんどなくて、1人で黙々と絵を描いている、そんな子どもでした。
けれども、絵を描くことは大好きのようで、「好きなものを好きなように描いていいんだよ」と伝えると、最初から意欲的に描いてくれました。
Kくんは、すべての絵画教室に皆勤で参加してくれて、そして回を重ねるごとにどんどん積極的になっていき、明るくなっていきました。
今では、誰よりも絵画教室が始まるのを待ちきれない様子で、今日、自分がやりたいことを前もって自分で決めているKくんです。
Sくんは、元気のいい男の子軍団の中でも特に力関係が上の男の子。その上、普段の生活でも学校でも、どちらかというと落ち着きがなく、自分のペースで行動してしまうことが多い子どもなので、大人たちからは『困った子』だと思われることが多いようです。
そんなSくんですが、「自由に自分の描きたいものを表現してね」と伝えると、ものすごい集中力を見せて自分の描きたいものを仕上げていきます。
まわりがどんなに騒いでいても、自分のペースを守ります。
他の場面ではマイナスに取られるSくんのマイペースぶりも、絵画教室という場ではいかんなく長所として発揮されます。
仕上げた作品を満足げに見つめ、誇らしげに見せてくれるSくんを見ていると、自分が生かされる場所というのは子どもに自信を与えるとしみじみと思います。
まだなぐり描きしかできない小さいYくんは、初めて絵画教室に参加したときは、恐くて絵の具を試してみることができませんでした。ようやく筆を手に取っても、恐る恐る紙にちょこんと置いては私の顔を振り返ります。しかも、手に絵の具が少しついただけで、手を洗わずにはいられないようでした。
そんなYくんも、まわりの子どもたちが手のひらに絵の具を塗りたくっては手形スタンプを押している様子を見て、好奇心を持ったようです。意を決して手に絵の具を塗り、手形スタンプを押しまくりました。
それからのYくんは、どんなことでも自分で試してみようとします。クレヨンやマーカーでのぐるぐるも、積極的で大胆なぐるぐるになってきました。
何よりももう私の顔を振り返って確認を取ったりはしません。どんどん自分で描いていきます。
そういえば、甘えんぼでボランティアの人に抱っこばかりしてもらって、ちっとも自分で描こうとしなかったMちゃんも、今ではすっかりお絵かき大好きになりました。
元気がよすぎて、有り余るエネルギーをもてあまし、絵画教室の最中も走り回ってたTくんは、今では画用紙に気持ちを叩きつけ、満足するとさっさと教室を後にするようになりました。
こうして振り返ってみると、最初の頃の子どもたちからは信じられないような成長を見ることができます。
自分を自由に表現する場、自分を解放することができる場というのが、子どもにとってどんなに大切か、あらためて感じます。
そして、自由に絵を描くということが、子どもの気持ちを開放させるだけでなく、子どもの自信や成長につながるのだということを、この『思い出絵画教室』を通じて私は子どもたちから教えてもらいました。
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