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| No.13 |
さっちゃんのまほうのて
(偕成社) たばた せいいち/先天性四肢障害児父母の会・のべ あきこ/しざわ さよこ 共同制作
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子どもに読み聞かせをした本で、今でも心に残っている絵本が何冊かあります。
その中の一冊が「さっちゃんのまほうのて」。
子どもに読んであげているうちに、胸が詰って声が出なくなってしまったことや、涙に溢れる私の目を、不思議そうにのぞきこんでいた子どもの顔を今でも覚えています。
この絵本の共同制作者の一人である、野辺明子さんのお嬢さん―『さっちゃん』のモデルの一人でもある―長塚麻衣子さんが、実際にお母さんになられたというお話を聞いて、もう一度、この絵本を手に取ってみました。
『さっちゃん』の右手には、指がありません。生まれつきないのです。
障害を持って生まれた我が子に向き合う両親の思いや、まわりの反応で自分の障害と向き合わずにはいられない子どもの思い。
幼稚園でのままごと遊びのエピソードを通して、障害をつきつけられ傷つき、将来に対する漠然とした不安を子どもながらに感じ取るようすや、それを乗り越える勇気とその勇気を支えるまわりの愛情が淡々と描かれています。
今日、さっちゃんは、幼稚園のままごと遊びでどうしても『お母さん』になりたかった。いつもは背の高いまりちゃんがお母さん役で、さっちゃんは妹か赤ちゃんの役ばっかりやっているのです。
でも、今日はどうしても『お母さん』になりたかった。
さっちゃんのお母さんには、もうすぐ赤ちゃんが生まれます。大きくなったお母さんのおなかにさわらせてもらいながら、さっちゃんは「わたしもお母さんになる!」と決めたのです。
だからけいこ先生が「今日のお母さん役は誰ですか」って聞いたとき、さっちゃんはまっさきに
「わたし、お母さんになる!」と答えたのです。
なのにまりちゃんからは
「さっちゃんはお母さんにはなれないよ!だって、手のないお母さんなんて変だもん!」と言われてしまいました。
まわりにいた他の子からも
「そうよ」「へんだよ」と言われてしまいました。お父さん役のあきらくんまでが
「おれ、お父さん、やーめた」なんて言います。
さっちゃんはくやしくって、悲しくって、幼稚園を飛び出してしまいました。
その日から、さっちゃんは幼稚園に行くのをやめました。家で一人で遊ぶ毎日が続きます。
そんなある日・・・・
「お母さん、どうしてさちこの手はみんなとちがうの?どうして指がないの」
「小学生になったら、さちこの指、みんなみたいにはえてくる?」
さっちゃんの悲しい問いかけに真摯に向かい合うお母さんや、
「さっちゃん、ゆびがなくてもお母さんになれるかなぁ」と心配するさっちゃんに 、
「なれるとも!誰にもまけないお母さんになれるぞ。それにね、さちこと手をつないでいると、とっても不思議な力がつたわってきて、お父さんの体、いっぱいになるんだ。さちこの手はまほうの手だね」
と答えるお父さんの、大きなやさしさ。
胸が熱くなります。
障害があろうとなかろうと、まるごとの存在を受けとめてくれる相手がいることが、子どもにとっては幸せなこと。受けとめてくれる相手がいれば、障害はけっして不幸なことではないのです。不便ではあっても。
あらためて、子どもが自分を肯定できる勇気を持つには、まるごと存在を受けとめる相手が必要なんだということを教えてくれる一冊です。
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