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| No.3 |
| 『あのとき すきになったよ』 (教育画劇) 作:薫くみこ/絵:飯野和好 |
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クラスに一人、気になる子がいた、なんて経験は誰にでもあるかもしれない。
大嫌いな奴、それとも憧れの君。友だちになりたかった子。
理由はいろいろだけど、気になってしかたがないって子、いませんでした?
何気ないやり取りが、とてつもなくうれしかったり、逆に心を傷つけられてたまらなく嫌な気持になったり・・・。
気になる子といっしょに浮かんでくるのは、そのときの自分の気持や状況、まわりの風景・・・。
子どもなりに精一杯、いろんなことを考えて生きていたんだなぁと、妙にいじらしくなったりして。
あの頃の自分にエールを送ってあげたい。
この本の主人公、かさまつ ゆいこちゃんは、後ろの席の「しっこさん」が気になってしかたがない。
(「しっこさん」は、もちろんあだ名で、ほんとうは「きくちまりか」といいます。おしっこばかりもらすので、「しっこ」って名前にされちゃったのね。)
あまりしゃべらなくて、いつも怒ったような顔をして、そのくせじゃまばかりする「しっこさん」をゆいこちゃんは、大嫌い。ゆいこちゃんが乗ろうとしたブランコに、無理やり割り込んでくるような子なのだ、「しっこさん」は。
だからゆいこちゃんは、保健室で会っちゃったときも、心の中で思わず「あかんベー」をしてやった。
本人の前では「きくちさん」って呼んでるけど、心の中では「しっこ」って呼んでやる。
でも、金魚鉢の中に牛乳を入れて、みんなの金魚を死なせてしまったクラスメイトに、「ごめんですめば、けいさつはいらないよ」と言った「しっこさん」に、ゆいこちゃんは感心して共感を覚えてしまう。
ふたりで金魚のお墓を作り、金魚を死なせたクラスメイトの悪口を思いっきり言い合って、いつしか「しっこさん」とゆいこちゃんは心が通じ合っていきます。
そんなある日。ゆいこちゃんは音楽の時間に我慢しきれずに、おしっこをもらしてしまいます。
そして・・・。
この物語は、ちっとも好きじゃなかったクラスメイトのことが、いつのまにか大好きになっていた女の子のお話です。
ふとしたきっかけで心が通じ合い、友情が生まれる。友だちができたうれしさや胸の高鳴りが、こちらにも伝わってきて幸せな気持になります。
そして、ゆいこちゃんを救おうと、「しっこさん」こと「まりかちゃん」が取った行動と勇気には、思わず胸が熱くなります。
「しっこさんなんて、もういわない。
まりかちゃんが ゆるしてくれるまで わたしは ひゃくまんかいでもごひゃくまんかいでもずっと あやまる」
ゆいこちゃんのこの言葉には、人が人とつながっていく上で大切なことがいっぱい入っています。
おとなもメールばかりしてる場合じゃないかもしれません。
ほんとうの友だちと友情は、目を見て相手と話さなければ生まれてこない。子どもに教えてもらった一冊です。
「ねぎぼうずのあさたろう」「妖怪図鑑」などでおなじみの、飯野さんが絵を描いています。
大げさな表現の中に、「しっこさん」やゆいこちゃんの微妙な心のひだがうま〜く表れていてさすがです。
特に物語の最初に出てくる「しっこさん」は、飯野さん独特の哀愁を帯びた絵柄がマッチしていい味です。 |
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